
31年間の消防人生にピリオドを打ち、
49歳にして、新たな仕事に飛び込んだ。
それが――タンクローリードライバー。
この1週間は、とにかく濃かった。体も頭も、フル稼働。
ここに、新人1週目のリアルな記録を残しておく。
【1日目】「新人です。49歳です。」
初日は会社での入社手続きと事務説明。
年下の先輩たちに囲まれながら、ひとつひとつの説明を受ける。
雰囲気は堅いが、皆さん優しく接してくれた。
とはいえ、「49歳の新人です」って言うの、ちょっと恥ずかしかった。
でも、覚悟を決めて来たんだ。堂々といこう。
【2日目】「健康診断。まずは身体のチェックから。」
この日は提携病院での健康診断からスタート。
心電図、視力、聴力、血液検査…。
まるで“入社を許されるか”の試験のような感覚だった。
午後からは社内で座学の研修。
主に「危険物輸送の基礎知識」「法令遵守」「過去の事故事例」など、
ビデオ教材を見ながらひたすらインプット。
椅子に座ってるだけなのに、妙に疲れた。
でも、扱うモノがモノだけに、安全教育は本当に大事。
【3日目】「適性診断。そして、また座学。」
この日は朝から適性診断テスト。
反応速度や集中力を測るテスト、性格傾向のチェックなど、
まさに“プロドライバーとしての素質”を測られているようだった。
午後は引き続き、座学研修。
ビデオでの安全講習、社内ルールの再確認、ヒヤリハット事例の共有。
ここで改めて感じたのは、「この会社、安全への意識が本当に高い」ということ。
【4日目】「油槽所という異世界。」
初めて港の油槽所へ。
立ち入り制限、IDカード、構内ルール、静電気除去…。
もう、何もかもが別世界だった。
巨大なタンク群とローリーの列。
ミスが許されない緊張感の中、
「この仕事、簡単にはできないぞ」という重みを感じた。
でも、ベテランの先輩がポツリとくれた一言――
「焦らんでええよ。最初は誰でも分からん。」
この言葉に、救われた。
【5日目】「ローリーに初めて触れた日。汗だくの一日。」
この日、ようやくローリーの作業手順と運転練習を開始。
まずは車両点検や手順の確認から。
荷積みホースやバルブの操作は、実際に触れてみると意外に複雑で、覚えることが多すぎる・・・
午後は構内での運転練習。
ミラーの位置、車幅感覚、バックの動作確認――全部が新鮮で緊張感MAX。
結果、全身汗だく。
まさに、肉体も精神もフル回転の1日だった。
【まとめ】「この道で生きていく」と決めたから。
この1週間、とにかく濃密だった。
覚えることは山ほどあるし、体力的にも精神的にも楽じゃない。
汗だくになりながらタンクローリーを操作し、油槽所の緊張感ある現場を行き来する毎日。
正直、「俺、この世界でやっていけるのか…?」とふと思う瞬間もあった。
でも、それ以上に感じたのは、人の温かさだった。
運送業界と聞いて最初は正直、“荒っぽい人が多いんじゃないか”と不安もあった。
けれど、実際に接してみた先輩たちは、誰もが礼儀正しく、丁寧に教えてくれる。ミスをしても頭ごなしに怒鳴る人なんていない。
その姿勢に、むしろ驚いた。
消防の世界では、パワハラや理不尽な上下関係が日常だった。
ミスすれば怒鳴られ、耐えるのが当たり前という文化の中で働いてきた。
それが“社会とはこういうものだ”と思い込んでいた。
だからこそ今、こうして転職して、まったく違う世界に飛び込んでみて思う。
「なんでもっと早く辞めなかったんだろう・・・」
まだまだ新人。まだまだわからないことばかり。
だけど、自分の意思で選んだ道を歩いている実感がある。
49歳。遅いかもしれない。だけど、新しいことを学ぶのに年齢なんて関係ない。
身体を使いながら、安全第一で一歩一歩覚えていく。
焦らず、腐らず、積み上げていけば、きっと自分の力になる。
来週からは、いよいよ実際の配送に同行。
まだまだ始まったばかりの第2の人生、ここからが本番だ。
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