「ご退職、おめでとうございます」

そう言われて渡されたのは、退職手当計算書。

中に記載された金額は──
1,518万円。

正直、ホッとした。
31年間、現場に立ち続けた自分への“労い”として、十分すぎる金額だった。

でも、その瞬間ふと思った。

「これ…税金、いくら引かれるんだろう?」

ところが意外にも、税金は一円もかからなかった。


■ 退職所得控除──国が用意した“労い”の仕組み

退職金には、「退職所得控除」という制度がある。
これは、長く勤めた人ほど税金がかからないように配慮された制度だ。

僕の場合、勤続年数は32年
退職所得控除の計算式はこうなる:

40万円 × 20年 + 70万円 × 12年 = 1,640万円

つまり、退職金が1,640万円以下なら、税金はゼロ。

僕の退職金は1,518万円だったので、全額非課税だった。


最初は信じられなかった。
「そんなうまい話があるのか?」と疑ったほど。

でも実際に職員課でも確認し、計算も自分でしてみた。

間違いなく、手取りで満額受け取れるということだった。


■ 長く働いた人ほど報われる制度

世間では「退職金にも税金がかかる」と思っている人が多い。
実際には、ほとんどの人が非課税、またはごく軽い課税で済む。

これは、長く働いた人への“国からのねぎらい”のようなものだと思う。


僕はこの退職金を、次の人生のために大事に使いたい。

税金に削られることなく、自分のこれからのスタート資金として使えること。
それが、なによりもありがたかった。



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